おふとんの日常

blue-pink-sky’s diary

秋色・不死鳥

 

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<松本電鉄上高地線3000形3003-3004 Nikon Z7+FTZ+AF-S70-200mmF/2.8E FL ED VR>

 

近年地球温暖化などによる気候変動・異常気象で主に夏季、予想外の天災に見舞われることが増えた。自然災害による社会への影響というのは様々なところに及ぶ。それはもちろん社会インフラの一つである鉄道も例外ではなく、以前の阪神の記事のように時には車両は無惨にも廃車の運命を辿ることとなる。当然のことではあるが欠けた車両がいるのであればその穴を埋めるべく働く車両がいるものである。昨今ではそんな事情から数奇な運命を辿る車両を見かけるのである。地震、豪雨、火災、事故、落雷...。ちょうど昨日は京成線で脱線があったばかりだし、夏前には南海で同様の事故があった。こちらはこうやの30000系が1編成使えなくなり一般車による代走が発生、結局これを解消するために泉北ライナーに使用されていた11000系を高野線に戻し、その分ラピートを1編成ライナー専属にするという今までは考えもしなかったような事象が起きた。新潟ではE129系が大量に使えなくなり、何やら転属の方針が見え隠れしていたE127系が代走に。特急車E653系による快速なども見られた。これは流行病であるコロナにも言えることである。コロナによって大幅な減収、厳しい経営を強いられることとなった鉄道各社はそれまでの中長期で予定していた置き換え計画を大幅に変更、その多くは既存車両のなるべくの延命を図るというものであった。もしコロナが流行っていなければ丸ノ内線の02系は今頃瀕死かもう既に存在していなかったのではないだろうか。

前置きが長くなったが上の写真の松本電鉄上高地線3000形、3003-3004編成もまた特殊な人生を送っている車両である。そもそも松本電鉄3000形は京王3000系の譲渡車であるが、実は松本電鉄に譲渡された8両は全て元々中間車であり譲渡時にあまりにも綺麗に先頭車化改造が行われているという何とも面白い車両である。しかし同じく京王3000系を買い取って走らせている各社と同様に近年は流石に老朽化、予備部品の枯渇が見られ松本電鉄では東武20000系を改造した20100形による置き換えが予定されている。この3003-3004編成は昔上高地線で使用されていた旧型車両の色を復刻した車両になっているのだが、2021年夏の豪雨災害によって路線が一部不通になりこの編成は孤立することとなる。具体的には松本の次駅、西松本駅のすぐ西にかかる田川橋梁が橋脚が傾き線路が歪んでしまい通行することが不能となってしまった。この際に松本駅に孤立した同編成は休車となり、そのまま廃車が予定されていた。しかし3001-3002編成が落雷により故障、修理が必要になったことや検査の結果比較的車両の状態がいいこと、同編成がリバイバル塗装編成であったことなどが加味され2022年8月に復活を遂げたのである(そして逆に3001-3002編成は先日廃車)。

新車である20100形はまだ1編成しか導入されていない現状を見るに3000形が全滅するのはまだ数年後の話であろうがいずれにせよそのうち廃車される運命。ひと目見てみたかった3003-3004編成が偶然来てくれたのは幸運であるし、背景にまだ紅葉の残る箇所で撮影できて非常に満足である。長野県には上田・松本・長野と非常に個性的な私鉄が3つも密集しており、そこには京王(3000)、東急(8500、1000)、メトロ(03)、JR(253)、小田急(10000)の中古車が走っている。松本と上田に関しては編成ごとに色も異なりその日の運用次第で様々な車両が走ってくる。今回は旅の途中で立ち寄った形であったが次回はしっかりと腰を据えて狙ってみたいものである。その際はせっかくなので全線乗り通すのも良さそうだななどと妄想が捗るのである。