特急の風格

<近鉄21000系21103編成 Nikon Z7+Z26mmF/2.8S>
特急王国こと近畿日本鉄道、近鉄。近鉄には現在18形式にもなる特急車両が在籍している。今では最新鋭のひのとりこと80000系やしまかぜで知られる50000系が花形として活躍しているが、前世代の花形だったアーバンライナーこと21000系も負けてはいない。名古屋大阪間の速達便である名阪甲特急の役割こそひのとりに譲ったが今日でも日々満席のひのとりの補完として、また名古屋から伊勢志摩へのアクセス特急として近鉄の特急網を下支えしている。何より登場からあと数年で40年を迎えようとしていることを感じさせない特急たるフォルム、上下にも前後にも広い窓、3列配置のデラックスシート、汎用特急と違い6両か8両で駆け抜ける姿は僕が幼い頃に図鑑で見た「特急車両」の風格を未だに宿しているのである。
アーバンライナーPlusこと21000系は1988年デビュー。同世代の車両を見ていくと特急型という括りならJR九州783系とJR東日本651系、JR東海キハ85形、名鉄1000系パノラマスーパーが1988年デビュー、小田急の10000形HiSE車が1987年デビュー、西武10000系NRAが1993年デビュー、南海10000系サザンが1985年デビュー。通勤型まで含めて見ると営団02・03・05系、阪急8000系、JR北海道721系、西武4000系、東武20000系、東急1000系などが同じ1988年デビュー(この年は各社から新車が大量にデビューした年らしい)。同世代の車両たちの現在を見ていくと、上に挙げた16車種(アーバンライナー含む)のうち元の会社で(事故廃車等は除いて)全車現役なのはアーバンライナーと阪急8000系のみ。一部廃車されたものの元の形式のまま残存車がある形式を足しても10形式(そのうち余命宣告を受けている車両が4形式)。40歳が平均寿命とされている鉄道車両においてアーバンライナーはそろそろ先が見えてもおかしくはない年齢。もちろん近鉄の特急車両にはもっと高齢の12400系サニーカー(1977年製造)や30000系ビスタEX(1978年製造)がいるとはいえ、長い間名阪甲特急として走り回ってきた代償は小さくないのではないか。近鉄のことだからあと20年くらい走っていても不思議ではないが、そうは言ってもこんなに特急然とした車両が堂々と走っているうちに少しでも記録をしておいて損はないのではないだろうか。
<あとがき>
最近気合の入った旅行記事ばかりで鉄道の写真をあげてなかったな~というのとたまにはこういう軽い記事を書きたくなったので久しぶりに書いてみました。僕、あまりいい思い出がなくて夏はそこまで好きじゃなかったというか正直嫌いだったんですよ。でもここ数年夏にしか経験できないこと、冬にはない夏ならではな体験をして少しずつ夏が好きになってきました。冬の宇宙まで見えるような澄んだ青空も好きですが、夏のちょっと淡い、緑に映える青空もいいな、と。何より冬は景色としてはどうしても「枯れた」風景になってしまいますが初夏から夏中盤は生きた緑色を見ることができます。これは鉄道写真でも同じ、ただの電車が写っているだけの写真ではありますが緑色の稲と一緒に写すことができるのはこの時期ならではだなと。もちろんこの写真を撮ったときも灼熱の下で熱中症になりかけ帰ってからは首の後ろがヒリヒリしましたがそれもまあ悪くないかな、って思えるくらいには夏が今では好きです。

<Fujifilm X-T2+Zeiss Touit2.8/12 ASTIA>
それにしてもアーバンライナー、カッコいいですね。元々nextの方が好きではあったんですが改めて見るとPlusの方も凝ったデザインをしていてカッコいい。そして最近アーバンライナーのデラックスシートに2回乗ったのですが(どっちもPlus)快適でしたね。いつかこれも記事にできたらとは思ってるんですが近鉄は随分と特急にお金をかけている印象。特急車はかなり年齢にバラつきがあるはずなんですがそこそこ古い車両に乗っても綺麗に整備されているおかげで歳を感じさせません。特にデラックスシートは人口密度故詰め込み重視の関東圏ではもうあまり見かけなくなった1+2列の座席配置でシートも包み込んでくれるような形状のものが採用されておりちょっと特急料金にプラスするだけで偉くなったような気分になれます。それ以外にもリニューアル時に付いたであろう車内液晶や綺麗なトイレ、デビュー当初からの運転台の眺望など、快適に過ごすことを第一に考えてくれている設計を感じることができます。まあ本当はひのとりのプレミアムシートに乗ってみたかったんですが当然のように満席でそれならと思って乙特急のデラックスシートにしたんですが、これはこれでいい経験でした。次こそプレミアムシートに乗りたい。
僕は鉄道会社の中の人とのつながりみたいなものは一切ないので匂わせとかそういうのではなく単純に素人の考えなんですが、アーバンライナーは本当にいつまで走るんでしょうね。近鉄は最近通勤型のボロの置き換えに熱心ですしひのとりの増備もどうやら終わったっぽい(ずっと満席だし離脱車を出せないくらい余裕がないならもう少し増やせばいいのに)ので一旦特急車の置き換えはストップしてますが、普通に考えたら(西の会社は元々平均寿命長いですが)そろそろ置き換えの話が上がってもいい車両をそこそこ抱えているはずです。前述のサニーカー12400系は48歳、ビスタEX30000系は47歳、サニーカー12410系(なんだそれ)は45歳。特急車両ということで走行距離もそこそこ嵩むのではないかと考えるとよくもまあ元気に走っているなという感想しか出てきません。そしてこのアーバンライナーPlusもそこら辺の車両よりはまだ若いとはいえデビューからひのとりの登場まで実に30年間も名古屋難波間を花形の甲特急として駆け抜けてきたわけですし老朽化も結構無視できないものになっていてもおかしくはないのかな、と。
ここまで書いてきて思い出したのですがそういえばビスタカーは置き換えの話が中期計画かなんかで出ていましたね。となるとビスタEXは15編成もいる大所帯なので置き換えにはまあ数年かかるでしょうしアーバンライナーやサニーカーの置き換えはその先なんでしょうかね。でもあんまりのんびりやっていると1990年代前半に製造された特急車が大量に存在しているため置き換え時期が被って大変なことになりそうですが(さくらライナー、伊勢志摩ライナー、ACEは同時期のデビュー)。まあ何はともあれ汎用特急のような運用スタイルにはなったもののその独特なフォルムからフラッグシップの系譜を感じることのできるアーバンライナーには長く活躍してほしいものです。あわよくばnextの方も晴れでまともなカットの記録ができたらいいのですが...。
ということで久しぶりの簡単電車記事でした。ちょっとこういう記事を書きたい気分なので湯西川温泉旅行記の途中ではありますがもしかしたらまたこんな記事を挟むかもしれません。ちゃんと湯西川の旅行記も完結させますので何卒。では今回もご覧いただきありがとうございました。また次回の記事で。