おふとんの日常

blue-pink-sky’s diary

前照灯

 

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<富山地方鉄道16010形第2編成 Nikon Z7+Z50mm F/1.8S>

 

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<富山地方鉄道16010形第1編成 Nikon Z7+FTZ+AF-S70-200mm F/2.8E FL ED VR>

 

一昔前の車両は最近の車両より奇抜な見た目をしていることが多い気がする。デザインの凝っている凝っていないではなくて単純な造形の話。個人的にそんな車両の代表例だと思っているのが西武5000系富山地方鉄道16010形。この時代らしい側面まで続く2枚窓、ゴツめの窓下の部分、そしてしゃくれ顎のように前突した前照灯と愛称受け。幼い頃は図鑑やネットでこの車両を見る度に変わったデザインだと思っていたが大きくなるにつれてなかなかカッコいい車両なのではないかと思うように。ひょんなことから未踏の地だった富山を訪れることになりもちろん狙うは富山地方鉄道電鉄富山(稲荷町)~寺田間は日中でも毎時3本が確保されており、かと思えば毎時1本の宇奈月立山に向かうローカルな末端区間もあるなかなかの規模感の地方私鉄。現行車両は元西武NRAの20020形、元東急8590系の17480形、こちらの16010形、元京阪特急3000系の10030形、最後の地鉄オリジナル車の14760形、そして増結車クハ175形の6車種。ところが富山地鉄においてはこれらはすべて(ほぼ)共通運用。一応臨時列車が走る際はNRAの20020形と16010形の第2編成が充てられているようだったが、2両編成を組むレア車両の16010形第1編成、京阪特急カラーの10030形10033-10034編成はどちらも共通運用。ある日は立山に行くし別の日は宇奈月に行くしとある日は車庫でお休みのことも。運がいいことに僕の滞在中はずっと運用に入ってくれていたようで毎日その顔を拝むことができた。元車両をたどるとこの車両はレッドアローの中でも最古参級の1969,70年製造らしい。今年で53歳。同世代の特急車両を調べてみると京成初代AE車が1972年~製造。あちらは20歳にして廃車になってしまった不遇な車両ではあるが、それにしてもAE車の後継のAE100形も既に鬼籍に入っている今、未だにエース級車両として活躍する16010形には天晴の一言。間近で見ても50年以上、しかも過酷な富山の地にやってきてから既に27年が経過している車両とは思えない綺麗さ。富山地鉄は(保線はともかく)車両のメンテナンスは非常に丁寧な印象を受けた。富山の滞在中、なかなか運用が噛み合わずに末端区間で出会うことは叶わなかったが「華」を感じる車両に令和の時代に出会えたことに感激である。この車両には山が似合う。いつか時間を見つけて富山の名峰と一緒に記録したいものである。