おふとんの日常

blue-pink-sky’s diary

3年間の空白を埋めるために

今でも世の中に蔓延るコロナ。とは言えようやく以前の日常に近い生活が戻ってきている。

 

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<Nikon Z7+Z28mmF/2.8>

 

 

コロナが流行り始めてからというもの、大学はすべてオンライン、実習ですら必要最低限(と大学が判断したもの)しか行えず、当たり前のように部活やプライベートは消失した。もちろん全ての人類がこの壊滅的な社会と向き合ったのだから、人によっては高校生の方がかわいそうだ、幼稚園児の発育に影響が、などといろんな意見があると思う。それらは全て正しいと思う。時には大学生は学問を修めるのが仕事なのだから別にいいじゃないかとすら言われていた。でも僕は思うのだ、大学で学ぶことは必ずしも専門だけではなくて社会の様々なこともまた学んでから社会人になるものなのではないかと。

 

そもそも実習は簡略化され試験や出席要件は簡単になり授業の質も下がったのだから学問もまともに修めることができたとは言えないし、大学に行って友人や教授と関わりコミュニケーションを取ることもまた勉強であったのにそれが出来ないから色んな事が欠落していった。大学生には大学生なりのしんどさがあったのだ。

 

昨年度中頃から少しずつ(根本的には何も解決していないとはいえ)社会的な風潮がコロナを許容する流れになってきた。これの賛否はともかく、一人一人が最大限気を付けることで人々の社会生活が許されるようになってきたことには間違いない。最初のうちはその変化に適応することが出来ずに逆に狼狽えてしまっていた。何より社会復帰するのが久しぶりすぎて色んなところで細かい問題を感じていた。

 

例えば大学に登校するリズムが作れない。人との話し方を忘れかけていた。部活に戻っても気付けば先輩はほとんど消え知らない後輩だらけ。友達を作ろうにも作り方が分からないしそれができなければ友達もいない。そして一人暮らしとの両立。

 

2年半も部活が再開するのを待ちわびていたのにいざ再開すると本当にアウェー。コロナ禍のオンライン時代にたくさん部活にコミットしていた人たちに僕の枠は完全に奪われ(もちろん彼らはまっとうに部活動をしていただけなのだから奪うなんていう表現は適切じゃないが)居場所がなくなっていた。秋合宿はコロナが怖くて欠席。月に2回程度の全体会に顔を出しても同期は少なく顔も名前も学科も学年も分からない後輩だらけ。どうしよう。

 

当然人に飲み会やご飯に誘われることはほとんどなく、そしてマスクもあって部活に行っても顔が覚えられない。まず誰が何年生かも分からないので話に混ざることも難しい。今さら名札なんてつけてくれないし。毎回部活に参加して覚えられるのは本当にせいぜい一人が限界だった。そもそもの話部活にいなかった間に後輩が40人くらい増えていたのだ。覚えられるわけがない。でも覚えないと僕の部活人生に未来はなかった。

 

じゃあどうしたものかと考えて少しずつとっつきやすそうなところからつついていくことにした。部活終わりの機材片付けに残って仕事をしながら幹部の子と話をしてみたり、誘えそうなときはご飯に誘ってみたり。

また部活内で覚えるだけでなく覚えてもらえるように工夫した。幸いだったのは部活内において僕はパートが特殊で確立されていたために部活内で歌う機会のときにそれの一人パートを任せてもらえたこと。その時点でみんなは少しは僕のことを知ってくれたはずだし、そこに甘えることなく全体練習のときに意識的に全体向けに喋るようにした。またパートの講習会を担当してもいいと部長に声をかけて講座をやった。こういうことが少しずつ功を奏したようでベース(僕の担当パート)のお兄さん、くらいの認識はもらえたような気がする。

 

それでも年明けくらいはまだまだアウェーで少しずつ認知はされてきていても飲み会に参加するような気分にはなれなかった。うちの部活ではライブをやるとその後は飲み会で打ち上げが定番だが(ちなみに飲み会は信じられないくらい治安がいい)1月末にあったライブの帰りは打ち上げに参加せず一人ぽつりと帰宅した。飲み会にあまり知らない先輩がいたら周りも余計な気を遣ってしまって楽しめないだろう。

 

転機が訪れたのは1月30日、この日は1月上旬に後輩から唐突にLINEが来て「ご飯に行きましょう!空けといてください!」と言われていた日であった。めちゃくちゃ話したことがあった後輩でもなかったので(もちろん普通に話したことはあったが僕がコミュ障すぎてあんまりまともに話せなかった、しかもその子はすごくかわいいので男子校出身には壊滅的)普通にびっくりしてなんだろう・・・とモヤモヤしながら1か月を過ごした。

実際に当日ご飯に行ってみると何やら本題はバンドのお誘いらしかった。部活内の活動に注力するのではなく本気で外部のライブを目指すというバンド。つまり実力を認めてもらって誘ってもらえたということ。とっても嬉しかったのをよく覚えている。そしてこれがどう転機だったかというとこのときにバンドに誘ってくれた後輩二人とこの後非常に仲良くなるのである。しかもその二人は大変顔が広いためそこら中に人脈も増えていくのであった。僕が本当は色々な会(遊びでも飲み会でもご飯でも)に行きたがっているのを察して色々誘ってくれるようになったのだ(まあもう少し後、6月か7月の話だが)。

 

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<Nikon Z7+Z28mmF/2.8>

 

この転機も含めて12月くらいから5月くらいにかけては定期的にバンドに誘われるとかなんなりで少しずつではあったが知り合いが増えていった。後輩だらけの部活でもどうにか生きていく活路を見出していった。そうこうしているうちに4月、5月の新歓期を迎えた。5月の新歓合宿ではまだあまり話したことのなかった2,3年生の後輩と話をする機会があった。6月には新人として1年生がなんと30人ちょっとも入部してくれた。逆に言えば30人も顔と名前を覚えないといけないし、なんなら30人に認知されるのはかなり至難の業である。

 

7月には入部してくれた1年生がメインの新人ライブが控えていた。1か月ほど1年生を交えたバンドで練習しステージに立ってもらう、言わば初心者向けライブ体験会のような機会である。と言っても1年生が多すぎて各バンド1年生が2~4人いる状態(1バンドは6人)で10バンドもあったのだが。

ここで僕は考えた。この時点でまだちゃんと話したことや関わったことのない後輩は1年生だけではなく2年、3年生にも残っていた。そういう後輩を部活の先輩として育てつつ認知してもらい仲良くなれる機会なのではないか、と。僕は自分の新人ライブバンドとして2バンド参加していた(上級生かつ男子は少ないので掛け持ちの形になった)がそこでもみっちり練習してその後ご飯に行くなどして親交を深めていった。それに加え後輩を育てるという名目で(もちろんちゃんと育成もしたが)色んなバンドの練習に顔を出し後輩をご飯に連れていった。結局ライブまでに10バンドあって7バンドは練習を見に行ったバンドになった。これだけで1年生は2/3くらいはまともな会話をしたことある人になったし、2年生もちゃんと関わったことなかった人と話すことが出来た。

 

そうこうして気付けばもうそろそろ1年が見えてくるが部活動が再開した昨年の秋以来、地道に色んなところで自分を売り後輩を覚えるという些細なことを継続した結果、今の僕には仲良くしてくれる後輩がたくさんいる充実した生活がある。7月は部活動に全てを捧げて生活していたので31日中予定がない日は3日しかなかった。8月も本来であればぼっちで寂しく過ごすはずだったのに一緒に遊びに行ってくれる友達ができたおかげで浴衣を着て遊んだり納涼船に行ったり飲み会もしたりと適度に忙しい日々を過ごせている。

 

大学生の間、ここまで僕は3年間空白の人生を送ってきた。本当に3年間空っぽで、何をしながら過ごしてきたのかももはや分からないような日々だった。でも救いだったのは僕が大学生活が7年間もあるということ。4年既に消費してしまっていてもまだ半分ある。この空白の3年間の代わりに今から青春を始めるのだ。今じゃなきゃ出来ないこと、今全部やっておきたい。悔いは残したくない。そのためにもやりたいことに付き合ってくれる友達がいてくれるのは本当に有難いこと。飲み会したいと言えば来てくれる後輩がいて、バンド組もうと声を掛けたら二つ返事で快諾してくれる後輩がいて、特に祭りや花火はないけどただ浴衣を着て横浜をうろつこうと言ったら本当に一緒に浴衣を着てくれる後輩がいて、この人と話してみたいんだよねと言ったら会をセッティングしてくれる後輩がいて。本当に僕の幸せな毎日は周りの人のおかげで成り立っている。今回は大学の後輩の話だがもちろん同期も先輩も趣味の友達も高校の親友もだ。一人で花火を見て帰る途中にBMWのオープンカーに拾われて深夜埼玉までドライブをするなんてバカみたいなこと、一緒にバカやってくれる友達がいなかったらできないし、一生ゲームやってバカなこと話してキャッキャ騒ぐなんてこれもお互いに時間があって仲良くないと絶対できない。細かいエピソードは書けばキリがないが色んなところで僕は周囲に支えられて生きているのを実感する。

 

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<Nikon Z7+Z28mmF/2.8>

 

少しでもいつか恩返しがしたいが今は何より僕と一緒に過ごしてくれる時間が相手にとっても楽しくて幸せなものであることを祈るしそうなるように僕も精一杯努力をしたい。本当ならここに先日浴衣で横浜をうろついたときの自分の写真でも載せたいところだがここはインターネットの海、さすがにやめておこう。

8月もまだギリギリ上旬くらい、夏休みは8月末で終わっても僕の夏は9月まで続く(気持ち的に)。やりたいことは全部やろう。今年やらないときっと後悔する。バカでもバカにされてもアホだと思われても子どもっぽいと思われても関係ない。だってバカだしアホだし子どもだから。よーし、夏の終わりまでひとっ走りするぞ~~~~~!